我が家のテレビ台を作ることにしました。材料は欅です。左右に3段ずつの引き出しを付け、引き出しの前板に花の彫刻をしました。中央はあガラスをはめた扉にしました。左の写真は、完成して据え付けた状態です。以下に不完全ですが製作過程を掲載します。

寸法
 右に寸法図を示しましたが、良く見えないですね。幅1000ミリ、高さ470ミリ、奥行き400ミリ。板厚は天板と底板は22ミリ、側板、しきり板は20ミリ。扉の框は幅30ミリ、厚みは20ミリとしました。

 

溝彫り

 板接ぎは雇さね接ぎにしました。テレビ台の奥行きは400ミリとしたので、材料を2~3枚接ぐ必要があります。接ぐ木端を手押しカンナにかけ、トリマーで溝彫りしました。溝幅6ミリ。深さ8ミリ。4ミリずつ2回に分けて彫りました。さねは幅15ミリ、厚さは5.8ミリくらいに削ります。天板と側板はあられ組にするので木口が見える組み方ですから溝は木口から20ミリくらい手前で止めます。仕切り板、底板、棚板などは木口まで彫ります。

 

板接ぎ

 接着面と雇さねにボンドを付け、接ぎ合わせたらクランプで押さえます。木工ボンドは速乾性でないものを使用していますが、夏なら5~6時間でクランプを外せるようです。写真は側板の板接ぎです。

接ぎ上がり

 天板と底板の接ぎ上がり?です。接ぎ目に段差がある場合は手カンナをかけます。この時接ぎ線の下に細い角材を敷き、板の両サイドをクランプで押さえて若干反らすとカンナをかけやすいです。

天板の切り欠きを側板に写す。

 天板の切り欠きが済みました。写真を撮り忘れたので切り欠きについては側板の切り欠きを参考にして下さい。天板の上面と側板の外側を付き合わせて重ね合わせ、しらがきで切り込み位置を墨付けします。切り欠きの底の線はけがきで書きます。この時はめ込むい板の厚みに0.5~1ミリプラスします。接着してからはみ出した部分をカンナで削ります。

切り欠きと仮組

 しらがきの線に沿って帯鋸で切り込みを入れます。(下1枚目の写真)次にけがき線までジグソーで切り欠きます。(下2枚目の写真)天板を下に置き、側板をはめ込みます。(下3枚目の写真)  どこかが当たっていれば鑿や彫刻刀で少しずつ削ります。あたっている部分を見極めるのが難しいですね。

溝彫り

 左の写真は天板と底板にルーターで溝彫りをしたところです。右手前が天板、左奥が底板です。幅20ミリ、深さ6ミリです。天板は前端から15ミリ程度は溝を彫らないで置きます。底板は前側に幕板?を取り付けるので幅いっぱい彫ります。この溝に厚さ20ミリの仕切り板を立てます。仕切り板と側板にはそれぞれ2本の溝を彫り、引き出し受け板をはめ込みます。引き出し受け板の厚さは16ミリですが、16ミリのビットがないので12ミリ幅の溝を彫りました。

仮組

 天板、底板、側板、仕切り板の溝が彫れたところで、仮組をしてみました。20ミリのビットは研磨ですり減り、19.5ミリ程の幅に上がっているので、しきり板の差し込み部分をテーブルソーで19ミリ程度に切り欠きました。引き出し受け板は差し込み部分を11.5ミリ程度に切り欠きました。引き出し受け板も仮組しましたが写真を撮り忘れました。

組み立て接着

 一気に組み立て接着は難しいので3回に分けて行います。先ずはしきり板に引き出し受け板を接着しました。下側に寝かせてあるのがしきり板です。これに2枚の引き出し受け板を接着材を付けて差し込みます。(溝にも接着材を塗ります)しきり板の上に側板を載せていますがこちらには未だ接着材は付けていません。引き出し受けとしきり板が直交するように斜めにクランプをかけています。接着部分を上下から押さえているクランプは8ミリの長ネジとナットで手作りしたものです。長ネジを通した2本の角材はそれぞれ向かい合った側が数ミリ程凸状になるように削ってあります。こうしないと板の中央部が押さえられないですね。

 

底板、側板、引き出し受け板の接着

 この工程の前に、底板の正面に幅62ミリの幕板を接着しました。また側板と底板の接続が側板に彫った深さ6ミリの溝に底板を差し込んだだけではちょっと不安なので、底板の左右両サイドの下部に20×20ミリの角材を貼り、底板を側板に接続したとき角材が側板に接するようにしました。底板、側板、引き出し受け板の接着は接着箇所が8か所になるので忙しいです。天板は乗せてありますが接着材は付けていません。箱のコーナーが直角になるように斜めにクランプをかけています。この接着をしてからミスに気付きました。引き出し受け板の控え寸法(天板に対して後退する寸法)を12ミリとしていたが引き出し前板の厚みは21ミリなので22ミリ程度必要です。やむを得ず接着固定後手鋸と鑿で切り取りました。天板を接着する前に気付いたので作業し易かったです。

 

天板の接着

 最後に天板の接着です。長ネジのクランプで上下を押さえ、左右方向は天板上に乗せた2本のクランプで押さえています。あられ組の部分の接着は上下方向と左右方向から押さえる必要があり、上下と左右を交互に少しずつ締め付けます。正面左あられ組の部分に左右の押さえのクランプが見えないのは、クランプが2本しかないので正面左側を締め付け後、外して正面右側に移動しています。クランプは大小合わせて20個くらい有りますが、足りなくなるものですね。

あられ組部分の整形

 あられ組は先端が1ミリ弱飛び出すようにしているのでカンナで整形します。堅い木口を削るので、刃を良く研ぎ、刃の出具合を良く調整します。カンナの台尻を側板または天板に付けて、削ります。台尻を浮かせて削ると平らに削れません。写真の方向にカンナを動かすと角が欠けたりしません。カンナを載せている板まで削ってしまわないように注意深くやります。

彫刻デザイン画の張り付け

 左右の引き出しは3個ずつありますが、彫刻のデザインは1個ずつにします。引き出し前板は彫刻部分が6ミリ、地板部分が15ミリで貼り合わせると21ミリとなります。地板と彫刻部分の板は1枚の板を挽き割ったものですが、1枚だけ挽き割りに失敗し、上下が別板の貼り合わせになりました。右側は桜、左は山葡萄の絵です。

彫刻部分の切り抜き

 彫刻部分の輪郭は糸鋸でカットします。最初に縁周り(幅20ミリ)をカットしてから糸鋸作業に入ります。桜にも山葡萄にも幅が2ミリくらいの細い部分があります。素材が檜や朴の木の場合は細い部分は糸鋸作業で欠けてしまいますので、幅を広くして糸鋸でカットし、地板に接着してから彫刻刀で細くカットする必要があります。今回は素材が欅なので寸法通りにカットしてみました。細い部分は成るべく後回しにするなどして注意深くカットした結果欠けることはありませんでした。

 

桜の彫刻(上の写真)

 刳り抜いた彫刻部分を、地板に接着します。上の写真1枚目。

2枚目の写真は接着が終わり、桜の彫刻部分が厚すぎると感じたので、カンナで1ミリ程度削りました。周りの縁は未だ接着していません。厚みは6ミリそのままで行きます。デザイン画をカンナで削ってしまったので彫刻刀で彫る前に部分的に再度デザイン画を貼り付けました。3枚目、4枚目の写真は彫刻が済みサンディングも終わった状態です。サンディングは150番くらいのサンドペーパーを直径6~7ミリの木の丸棒などに巻き付けて擦るといいようです。

引き出し箱板の溝彫り
 トリマーテーブルを使い溝を彫りました。引き出しの底板は5.5ミリ厚の合板を使用するので、側板、向こう板、前板に6ミリ幅、深さ6ミリの溝を彫ります。溝位置は板の下側木端から6ミリ上がったところです。ただし1段目と2段目の引き出し前板の溝位置はもっと上に上げる必要があります。後で説明します。向こう板と側板を接続する部分は側板に幅6ミリ、深さ5ミリの溝を彫り、向こう板の木口部分にはテーブルソーで6×5ミリのほぞ?を作り、側板に差し込み接着します。

引き出しの全パーツ
 前板は地板部分の厚みは15ミリですが、11ミリの切り欠きを作り、ここに側板を接着します。側板の厚みは15ミリですが切り欠きの幅は15.5ミリとしました。通常はこの部分を包み蟻組などにするらしいですが、小生の技術はそこまでは達していないのでここはこの状態で接着し、側板からビスを打ち込み、ダボでビスを隠す方法を考えています。

 

引き出しの接着組み立て

 上左1枚目写真は接着剤材を付け、押さえているところです。忘れてならないことは箱の4隅を90°にすることです。(正確に言うと前板部分の寸法は向こう板部分の寸法より1ミリ大きく作るので90°でなく前板側の角度が90°より幾分小さいが)狂いがある時は写真のように斜め方向にクランプをかけ修正することが大事です。2枚目の写真は接着完了したところ。3枚目の写真は本体に差し込んだところ。ここで前板の上端から引き出し受け板の上面までの寸法を正確に測り、この寸法に6ミリ加えた寸法を2段目引き出し前板の底板用溝彫り位置とします。2段目引き出しが完成したらそれを差し込み、同様に採寸し、1段目引き出しの前板の底板用溝彫り位置を決めます。 

引き出し完成

 引き出し6個完成しました(上1枚目写真)。6個目の引き出しを接着してから間違いに気付きました。最後に接着組み立てした山葡萄1段目の前板の底板用溝を前板の上部に彫ってしまい、気付かずに接着してしまいました。接着剤が固まってから気づき、作り直しする羽目に。側板だけ新たに作り直し、前板の溝は彫りなおし、間違った溝は埋め木をして修正しました。2枚目写真は山葡萄、3枚目写真は桜の彫刻です。各段の前板の繋がり部分に微妙に隙間があります。技術の問題ですね。

扉の作成

 扉の框材は幅30ミリ、厚さ20ミリとしました。上1枚目の写真は留め切りジグを使って45°カットしているところです。2枚目の写真は段欠きをしたところです。扉はガラスを入れるので、ガラスを納める部分とガラスを押さえる角材を納める部分が必要になり、2段欠きとしました。表内側をトリマーで面取り(瓢箪)し、接着しました。紐のクランプをかけています。(3枚目写真)

扉の角処理

 上1枚目の写真はジグに扉の框?を乗せ、小穴カッターでカンザシ用の溝切りをするところです。ジグは中央の五角形の板を上下に調節し、角をジグ上面に合わせられるようになっています。小穴カッターには溝幅を3ミリから12ミリくらいまで調節が出来る刃が付いています(ラジアルカッター?)。刃の盤面を回転面に対してずらすことが出来るようになっています。溝幅は6ミリ、深さ25ミリに設定しました。8か所の角に溝を切ったところ、実際の溝幅は5.8から6.0ミリまでばらついていました。カンザシ用の板を自動カンナで削り、厚いものから順次決めていきます。(6.0ミリのカンザシを切り取ったら残りの板を5.9ミリに削り、切り取り、残りの板を5.8ミリに削り.....という具合カンザシをに溝幅に合わせて作ります。)2枚目の写真はボンドを使い溝にカンザシを入れてクランプで押さえています。3枚目の写真ははみ出したカンザシを先ず帯鋸でカットしてからカンナで削るところです。角から中央に向けてカンナを動かします。カンザシの出っ張りを削るわけですが、出っ張りを完全に削り落そうとしますと最後に框も削ることになります。この時框に対して逆目方向に削ることになる場合がありますが、カンナ刃を良く研いで、刃をわずかに出し、裏刃を効かせてかけると逆目が目立ちません。

蝶番用溝彫り
 トリマーで扉の框?に溝を彫ります。蝶番の回転軸の部分の厚みは4ミリですので、框に1.8~1.9ミリ、本体にも同寸の溝を彫ります。それぞれ2.0ミリで良いのでしょうが、2ミリを超えると扉を閉め、手を離すと扉が少し開いて落ち着きが悪くなります。そこで多少ぶれても2ミリを超えないように1.8~1.9ミリを狙います。トリマーにはガイドを付けます。蝶番の回転軸の中心から端までの寸法にセットします。今回の寸法は11ミリでした。角は丸く彫り上がるので彫刻刀か鑿で直角にさらいます。

 

 框に蝶番をネジ止めしたら本体に据え、蝶番の付け位置を彫刻刀かしらがきで本体に正確に印し付けします(上の1枚目写真)。トリマーと彫刻刀などで彫りあげたら扉を本体に置き、錐で穴位置を印し付けし、ネジより少し細いドリルで下穴を開け、扉を本体にネジ止めします(上の2枚目写真)。3枚目の写真はガラス押さえの角材の角を接着しているところです。勿論框と角材は接着しません。角材の角は相欠きにしていますが、上から見ると額縁止めに見える方法でカットしています。角材の断面寸法は12×7ミリです。

ガラス切り
 扉のガラスは3ミリ厚のものを使いました。定規をクランプなどで押さえ、カッターを定規に沿わせ、途中で休まず一気に動かします。この時チーという音がします。次にガラスを持ち上げ、手前の方の切り線の下から。カッターの尻に付いている玉の部分で軽くたたきます。切り線の下に少しでも亀裂が見えたら両手で折るようにするとパリッと割れて完了です。カッターは刃がローラー式のもので、軸の中に灯油を入れています。以前はダイアモンドを埋め込んでいるカッターを使用していましたが良く失敗しました。ローラー式の方が良いような気がします。 

 上1枚目:棚板受け材の取り付け。断面寸法は12×18ミリ。受け材は移動可能なようにネジ止めにしました。

 上2枚目:裏板受け材の接着取り付け。断面寸法は8×8ミリ。

 上3枚目:配線収納箱の取り付け。テレビの裏側は配線コードなどがごちゃごちゃになるものですね。これを箱に収納し、すっきりさせようと思い、後ろ側に奥行き100ミリ程度の箱を取りつけました。この箱に裏板を付けるので、上2枚目の写真で中央部分の裏板受け材は取り付ける必要なかったですね。

引き出しの側板に竹釘を差し込む
 引き出しの前板と側板の接合部分に下穴を開け、3ミリの竹釘にボンドを付け差し込みました。杢ネジ+ダボを予定していましたが、昔ながらの竹釘に変更しました。これで強度がアップするか、気休めか。

 

塗装開始

 1回目ニスを塗りました。引き出しの側板、向こう板、引き出し収納部は無塗装です。引き出しの無塗装部分はマスキングしてます。この後乾いたら400番水ペーパーを軽くかけ、布でふき取り、水分が乾いたらニス塗り。ニスが乾いたらまた同じことを繰り返します。1回目ニス塗りを含め、ニス塗り回数を3~4回を予定しています。

完成
 ニス塗りは3回やりました。組み立ててみると、木製の取っ手の色が本体とアンバランスでした。後日取り換えるつもりです。扉はマグネットキャッチャーで固定するようにしました。

 

 背面に配線収納箱を付けました。テレビ台の裏側は配線が入り乱れ、格好悪いものですね。電源コードだけで4本になります。(テレビ、DVD、テープレコーダー、ブースター)その他、機器を結ぶコード類、アンテナケーブルなど。この箱の中に6コ口のコンセント、ブースターを入れ、背面の穴からコンセントケーブルとアンテナケーブルの2本を引き出し壁に接続します。テレビに接続するケーブルは箱の上部に開けた穴から立ち上がります。これでテレビの裏側を覗いても、壁との間にはアンテナケーブルとコンセントケーブルの2本だけとなるはずです。

戸棚作成