地球儀

 2011年7月から8月にかけ地球儀を作ってみました。旋盤を習い始め約半年ですが今回は何か球体を作ってみたいと思い、それなら地球儀を作ってみようと考えました。ウッドファーストM305の能力は最大直径が300ミリなのでこの寸法で作ることにしました。 材料は球体は欅、その他の部分はエンジュを使いました。

 寄木式に作るので経度30度毎、緯度20度毎に接ぐことにしました。

寄木パーツの製図

 右図のように半径150ミリと135ミリの扇型(肉厚15ミリ)を書きます。この図は赤道上空方向から見た図です。北緯20°、40°、60°の線を書くと欅材をカットする台形の厚みが出ます(図から測ることも出来ますが、三角関数表から計算することもできます)。例えば赤道から北緯(南緯も同じ)20°までの厚みは51.3ミリ(150×sin20°=51.3)。20°から40°までの厚みは45.1ミリのように解ります。 

 この図をもとに今度は極点方向から見た図を書きます。30°毎に放射状に線を書きます。一番下の30°の部分に赤道から20°までのパーツを製図します。中心から150ミリの円弧は赤道、124ミリの円弧は北緯20°の位置から肉厚分内側に入った(ただし赤道面に平行に入る) 位置です。球の表面にも内側面にも5ミリの削り代を付けると図から台形の底辺の長さは83ミリ、上辺の長さは62ミリ、台形の高さは39ミリと測定出来ます。(計算でも出ますが定規を当てて読み取った方が早いですね)次の30°の部分に、北緯20°から40°までのパーツを製図します。そして一番上の30°の部分に北緯40°から60°までのパーツを製図します。60°から北極までのパーツは台形でなく扇型ですのでここに製図しなくても解ります。

材料カット

 写真は欅材をカットして作った赤道から北緯20°までのパーツです。南緯20°までも同じ形ですので24個必要です。先ず自動カンナ等で所定の厚みと幅の角材を用意します。厚みは赤道に1ミリ厚のエンジュの薄板を入れる予定なのでこの分0.5ミリを引き、接着してから1ミリ程度削るので削り代を足して、52ミリとします。幅は39ミリ。この角材から台形のパーツを切り出します。通常はスライド丸鋸でカットするらしいですが、私は当時スライド丸鋸を持っていなかったのでテーブルソーでカットしました。他のパーツも同じようにしてカットします。

接着

 12個のパーツをリング状に並べ接着箇所に隙間があればベルトサンダー等で微調整してから接着します。接着材は木工ボンドを使用しました。写真では額縁用のクランプで締め付けていますが、ネジ付きのホースバンド状のものが具合良いそうです。

荒削り

 接着材が完全に固まったらフェイスプレートを付けた角材をリングにネジ止めします。勿論リングの中心にフェイスプレートの中心を正確に合わせます。ネジ穴が球体の表面に出ない位置にネジを入れます。そしてリングの表面が円形になるまで荒削りします。またこの時次の部材を重ねる面も予定の厚みになるまで削ります。リングが接着出来たらドラムサンダーで両面を平らにするのがいいと思いますが私は持っていないのでこんな方法でやりました。

40°から60°のパーツを接着したところです。

 その前に20°から40°のパーツがありますが、20°までのパーツと同じようにリングにしたら、これと重ねて接着します。フェイスプレートは外さないで反対側に接着します。表面を荒削りします。40°から60°のパーツも同様に重ね接着し荒削りします。60°から極点までのパーツは台形でなく扇型ですが、厚みは10ミリ程度プラスしてチャックのつかみ代にします。

半球の表面削りとつかみ代作り

 表面削りは薄板で削り型を作り、これを時々当てて確認しながら削るといいですね。極点の周りにチャックのつかみ代を作ります。

半球の内側を削り、2個合わせて球体に。

 フェイスプレートを固定している角材を外し、極側をチャックでつかみます。球体の内側を削ります。厚みは成るべく均一に、15ミリになるように削ります。この半球を2個作り接着すると球体になるのですがこの時赤道部分に1ミリ厚のエンジュを挟みます。私の自動カンナは3ミリ厚までしか削れないので3ミリのエンジュを10ミリ程の板に両面テープで張り付け自動カンナにかけて1ミリ厚に削りました。この薄板6枚(底辺の長い台形)を1個の半球の赤道部に隙間なく貼り、更にもう1個の半球を接着し、赤道からはみ出した薄板を削ります。

  

 

 

つかみ代のカット

 片方の極のチャックのつかみ代を削りますが写真のように高さ6ミリ、直径15ミリ程度、出べそ状に残します。後でここにM6の長ネジを通す穴を開けます。

反対側のつかみ代のカット

 最初につかみ代を削った極をジャムチャック?に押し付け反対側のつかみ代を同様に削ります。サンドぺーパーで研磨することを書きませんでしたが、勿論適宜研磨しています。極点に径6ミリの穴を開けて球体の完成です。

 弓や台作りの写真がほとんどありません。ご容赦を!!左の写真は地球儀の完成写真ですがこれを見ながら文章を読んで下さい。弓は3枚のエンジュ薄板を枚張り合わせて作りました。真ん中の板は8ミリ厚、外側の2枚は5ミリ。真ん中の板の木目方向は外側の2枚の板の木目方向と直交させました。材料にずいぶん無駄が出ますね。

 台は下の2段は横木?を重ねて接着し旋盤加工しました。その上の丸棒は縦木です。

 丸棒の写真がありました。先端に帯鋸で溝部分を切っています。これを台に差し込み接着し、溝には弓を差し込み接着しました。

地図書き

 地図は地図帳を見ながら手書きすれば出来るだろうと簡単に考えていました。しかしそれは大間違いでした。その方法ではとても書けるものではないことが解りました。ネットで色々検索したところ、いいものを見つけました。地図上のどこでもマウスでポイントすると瞬時に経度、緯度が表示されるサイトがあったのです。自分で作った地球儀の経度、緯度が解れば地図の要所要所をプロット出来ます。寄木の接ぎ線は経度は30°毎、緯度は20°毎になっていますが、これだけでは粗すぎて、要所をプロットすることは出来ません。

 そこで右写真のように透明のプラスティックの薄板で経度30°分、緯度は赤道から60°までの領域の型紙を作り、5°間隔で経度線と緯度線を書き込み、この交点に鉛筆の芯が通る穴を開けました。このプラスティックの板を地球儀に押し当て、鉛筆で5°毎に点を打ちました。勿論球体全部に点を入れるのでなく、プロットしようと思う要所の近辺だけです。球体に平らなプラスティックを当てるので多少の隙間は出来ますが、その辺は適当に処理しながら進めました。60°より高緯度の部分は経度の間隔が狭まるのと陸地が少なくなるので何とかなりました。地図は最初鉛筆で書き、間違いがなさそうと思えたらその上を黒のマジックインキでなぞりました。

着色

 国別を水彩絵の具で色分けしました。木目を出したかったので、絵の具を適度に水で薄めながら塗りました。同じように塗っても接ぎ線を挟んで色の濃淡が出来るので30°毎の経度、20°毎の緯度が目立ちます。国名、首都名も書きこみました。最後に透明ウレタンニスを塗って完成です。

戸棚作成